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管の向こうに見えるもの
2012年1月28日 東京女子医科大学の講堂で開かれた第3回DCIS研究会に参加してきました。この週は東京でも0℃近い気温が続き、道路脇に雪が積もっておりました。
DCISというのは非浸潤性乳管癌のことで乳管の中のみに乳がんが存在する病態です。このDCISの状態であれば、理論上は転移を起こさないことになっています。
乳がんの学会もいろんな分野に分かれており、このDCIS研究会は最も早い段階の乳癌について議論する会といってもよいかもしれません。
自分も4年前の乳管内視鏡研究会の時代にブレストピアでの乳頭分泌のデーターを発表させて頂きました。その時からすると格段に会のレベルが上がって難しくなっています。乳がんの研究の進歩に感心させられます。
難しい内容は別のところで述べるとして、DCISに対する考え方が変わりつつあるのかな?というのが今回の会の率直な印象でした。
DCISも乳がんですので、乳腺に関しては浸潤癌と同じような治療(手術)のアプローチを行っていました。
手術で癌を取り除くことが、理想であり、最善であることは言うまでもありませんし、ブレストピアのpolicyも切除断端陰性を目指して、局所コントロールに全力を尽くしておりました。局所再発率に関しては術後の放射線無しで0.3~0.5%といった数字だったと記憶してます。
とにかく癌を残さないということを徹底する。これが現在のところ基本ですが、これまでDCISとされていた乳がんの中にもおとなしい癌が存在することも徐々にわかってきています。
DCISに関してもまずはしっかりと組織亜型を診断し、がん幹細胞の特徴など細かい情報を揃え、それに対する薬物療法を行うといった治療が近い将来に出てくるでしょう。
その時代でもやはり大事な事は早く見つけるという事と精度の高い診断を行うということです。
少し寂しいですが、乳腺外科医の仕事が乳腺の生検のみになっていく理想の時代が来ることを心より切望しています。
そのためには、乳がん検診受診率を上げないといけないことは言うまでもありません。
院長 町田 英一郎
投稿日時:2012.02.01(Wed) 19:57:50|投稿者:machida